社労士に依頼するメリット・デメリットと活用法
社労士に依頼するメリット・デメリットと活用法


●社労士ってあんまり聞いたことないけど、どんなことしてくれるの?

今でこそ社労士という資格も多くの人に知られる様になりましたが、私がこの業界に入った頃は、弁護士や税理士に比べるとまだまだ知られていない資格という印象でした。

また、経営者が社労士に依頼する場合は、「知り合いの経営者からの紹介で」というケースが大半でしたが、最近ではインターネットが普及したことにより、社労士に依頼したい場合、まずは「パソコンやスマホで検索」すると思います。

すると…社労士に関する情報がたくさん出てきますよね。

しかし、本当に探したいのは「自社の抱えている課題を解決してくれる社労士」のはずです。

そもそも社労士に依頼するのは、「職場やヒトに関する課題解決」という経営上とても重要かつデリケートな分野であり、依頼する経営者も慎重にならざるを得ません。

そこで、私見とはいえできるだけ客観的な視点から、事前に知っておくと役立つ、依頼のメリット・デメリットや社労士の選び方について書くことにしました。参考にしていただければ幸いです。


そもそも社労士とは

社労士は、社会保険労務士法に基づいた国家資格者であり、企業の「ヒト」に関する専門家として企業における「人事労務管理」「採用から退職までの労働・社会保険に関する手続き」「年金の相談」に応じるなど、業務の内容は広範囲にわたります。

 

社労士に依頼するメリット


【本業に専念する時間ができる】
社員を雇うことは、一見すると、人手が増えて経営者の負担を軽減できる、と思われがちです。しかし、現実には、社員を雇用することで社会保険や雇用保険の手続きや給与計算などの事務作業は確実に増えます。また、社員のマネジメントも新たに業務として加わるため、意に反して「本業に専念できる時間が少なくなってしまった…」という経営者は実に多いものです。社労士にこうした日々の労働・社会保険手続きや給与計算を委託することで、本業に専念できる時間を増やすことができます。

 
【ヒトに関する漠然とした不安を解消できる】
多くの経営者にとって「ヒト」と「お金」は大切な経営資源であると同時に、悩みの種でもあります。特に「ヒト」の課題は見えにくいため、ある日突然トラブルに発展してしまうケースも多々あります。こうした事態を避けるためには、少しでも気になることがあれば放置せず早めに手を打つことが重要です。ヒトの専門家である社労士に常にアドバイスを受けられる環境があることで、トラブルの種を未然に防ぐことが可能になります。

【人材活用次第で業績を向上できる】
人手不足が深刻化している中、企業が成長を続けていくためには生産性の向上に取り組んでいかなければなりません。そのためには、社員一人一人の意識改革が必要ですが、強引に推し進めようとすると思わぬ反発を食らってしまいます。第三者の専門家である社労士を労使の仲介役とし、労使間の意思の疎通を図りながら就業規則や人事評価制度などのツールを活用することで、労使間の意識のギャップを解消でき、結果的に組織の求心力や業績の向上に繋がります。

 

社労士に依頼するデメリット

 

 【費用がかかる】
社労士に業務を依頼すると、当然のことながら費用がかかります。しかも、「就業規則の作成」ひとつを取ってみても社労士事務所によってバラバラです。これは、業務に関する料金設定は社労士側である程度は自由に設定できるので仕方のないことです。当然高すぎる料金設定は比較されて選ばれない、それだけです。一方、依頼する側からすると迷いの多いところだと思います。出来上がりが全く一緒なのであれば、費用を抑えられた方がいいに決まっていますが、費用だけでは選ばない方がいい業務もあります。それは、「就業規則」や「人事評価制度」など、コンサル要素の強い分野です。これらの業務は、対応経験や作成する社労士の考えも少なからず影響してくるので、その辺りも考慮してどこに依頼するか決めることをおすすめします。

【依頼しても課題が解決しない】
本来あってはならないことですが、せっかく社労士に依頼したのに課題が解決しない、ということも起こり得ます。これは、社労士側の能力不足の場合もなくはないですが、それ以前に「経営者の期待していたサービスと依頼を受けた社労士が提供するサービスがそもそもマッチしていなかったため」という場合の方が多い気がします。社労士側から「課題をどう解決していくか?」について具体的な提案がない場合には、「今何に困っているか?」「何を解決したいか?」「どうなれば理想の状態なのか?」を明確にした上で、契約前に社労士に伝えておくことでこうした事態を避けることができます。

【影響力を強く持たれすぎてしまう】
社労士は「ヒト」の専門家であると同時に、依頼内容によっては、会社のビジョン実現に向けた社員の育成や給与体系構築など、広く経営の中枢に関わることも多々あります。こうした役割が強くなりすぎると、経営者の意思決定のサポートを通り越して、社労士の意思決定が企業の意思決定そのものになってしまう、ということが起こり得ます。これは一見デメリットに見えないかもしれませんが、長期的な視点で事業の発展を考えた場合、望ましい状態だとは思っていません。経営者の良きパートナーとして様々な視点からアドバイスを行い、意思決定の判断材料を提供することで、「経営者が自信を持って意思決定できる様にサポートする」。微妙なニュアンスですが、気を付けたいところです。

 

これからの社労士の活用法

これまで、どちらかというと「社労士=労働社会保険手続きや給与計算、年金などの事務代行」というイメージが強かった様に思います。実際に「事務負担を軽減して本業に専念したい」という経営者の要望は多く、電子申請などの利便性が向上しても作業の手間はかかるため、今後も社労士を事務処理のサポーターとして活用されることは多いと思います。加えて、最近では「労使関係構築、職場環境改善、働き方改革のパートナー」として活用されるケースも増えてきています。今後も人材不足が続くことが予想される中、職場環境の改善や働き方改革を積極的に実施することで、社員や求職者から「選ばれる職場」になる必要性が急激に高まっているからです。利益の対立構造になりがちな労使間だけでは解決しにくい「職場環境づくり」について、専門的な知識と経験はあるが直接の利害関係のない社労士を仲介役として活用する、こういうケースはますます増えてくると思います。

 

依頼する社労士を決める基準は?

ここまでお読みいただいた方はうすうす感じておられるかもしれませんが、依頼する社労士を決める一番の基準は、結局のところ「自社の抱えている課題を解決してくれる社労士かどうか?」です。それを判断するためには、単純に「HPが綺麗だから」「有名だから」と言ったことだけで安易に決めるのではなく、依頼する社労士の「課題把握及び解決力、経験、実績、費用」などを総合的に判断する必要があります。また、顧問契約などの関係が長期に渡る場合には、「人事労務というデリケートな話までできるかどうか?」という担当する社労士との相性も実はとても重要です。一方、経営者側としては、「今何に困っているか?」「何を解決したいか?」「どうなれば理想の状態なのか?」を言語化しておくことで納得のいく社労士選びができる可能性が高まります。もし、「漠然としすぎていて何に困っているのかもわからない」場合は、正直にその旨を伝えましょう。 


以上、「社労士に依頼するメリット・デメリットと活用法」について私見を交えてお伝えしました。今後の社労士選びの参考にしていただければ幸いです。