賞与の社会保険料の計算方法と効果的な支払い方
賞与の社会保険料の計算方法と効果的な支払い方


●賞与の社会保険料の計算

ひと言で社会保険料といっても、実際には、

・雇用保険料率

・健康保険料率

・介護保険料率(40歳から64歳までの方のみ)

・厚生年金保険料率

4つの率の確認が必要になります。



具体的には、労働者ごとに加入している保険に応じて、

・賞与総額(支給額そのまま)
    × 雇用保険料率(労働者負担分)


・賞与総額(千円未満切捨)
    × 健康/介護/厚生年金保険料率(労働者負担分)


をそれぞれ計算します。


●最新の社会保険料率

各保険料率は定期的に変更されるので、計算の際には最新の保険料率をご確認ください。

◆最新の「雇用」保険料率↓↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html


◆最新の「健康/介護/厚生年金」保険料率↓↓
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150/


<参考:2023年7月現在>
一般の事業 協会けんぽ 大阪 の場合

・雇用保険料率(労働者負担分):0.6%
・健康保険料率(労働者負担分):5.145%
・介護保険料率(労働者負担分):0.91%
・厚生年金保険料率(労働者負担分):9.15%


●賞与の社会保険料の計算例

例えば、上記の率で、2023年7月10日に、

「社保全て加入」「50歳」の社員に

「賞与320,600円」を支給した場合。

・雇用保険料(労働者負担分)
  320,600×0.6%=1,924円

・健康保険料(労働者負担分)
  320,000×5.145%=16,464円

・介護保険料(労働者負担分)
  320,000×0.91%=2,912円

・厚生年金保険料(労働者負担分)
  320,000×9.15%=29,280円

となり、

1,924+16,464+2,912+29,280=50,580円

が賞与から天引きする社会保険料となります。


●賞与の社会保険料計算時の注意点

<端数処理>
計算した労働者負担分に円未満の端数がある時は、

@事業主が労働者負担分を給与から控除する場合
労働者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て
50銭を超える場合は切り上げて1円となる

A労働者が労働者負担分を事業主へ現金で払う場合
労働者負担分の端数が50銭未満の場合は切り捨て
50銭以上の場合は切り上げて1円となる

B事業主と労働者間で特約がある場合
@Aにかかわらず特約に基づき端数処理をすることができる


<健康/介護/厚生年金保険料の上限>
賞与にかかる健康・介護・厚生年金保険については、賞与総額から千円未満を切り捨てた額(標準賞与額)に下記の上限が設定されています。(雇用保険料は上限なし)

・健康・介護保険
  年度(4/1~3/31)の累計額573万円まで

・厚生年金保険
  月間150万円まで


<退職者の健康/介護/厚生年金保険料の取扱い>
退職月に支給する賞与は、月末に退職する場合を除き保険料控除の対象となりません。

例)7/10に賞与を支給する場合、
   7/30退職なら保険料控除不要、
   7/31退職なら保険料控除必要となります。
  (雇用保険料はどちらの場合も控除必要)


●賞与支払届

社員に賞与を支払った時に提出が必要な「賞与支払届」の様式・記入例・提出先などは、日本年金機構のサイトをご覧ください。


●そもそも賞与とは?効果的な支払い方

賞与とは、ざっくり言うと、毎月の給与とは別に「定期または臨時で労働者の勤務成績などに応じて支給するもの」で、賞与を支払うかどうかや支払う賞与額は労働基準法で義務づけられているものではなく、各企業の自由です。


一般的には、

============
・定額制
7月に○万、12月に○万など、予め賞与金額を決めて支払う方法

・定率制
7月に基本給の○%(○ヵ月分)、12月に基本給の○%(○ヵ月分)など、予め算定対象項目と支給係数を決めて支払う方法
============

などの形で支給している企業が多いと思います。


しかし、上記の方法では、社員の業績や頑張りが賞与の額に反映されにくいため、社員のモチベーションへの影響はあまり高くありません。


そこで、例えば、

============
・会社業績連動制
一定期間の会社の業績(売上・粗利・利益など)に応じて、社員に配分する賞与金額を変動させる方法

・個人業績連動制
一定期間の個人の業績(売上受注額・新規契約件数など)に応じて、個々の社員の賞与金額を変動させる方法
============

などの形で支給することで、賞与が社員のモチベーションを継続的に高める仕組みとして機能します。


賞与の支払い方ひとつで、業績と社員のやる気を同時に高められる可能性がありますので、自社に合った賞与制度についてじっくり考えてみましょう。


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