●有給休暇取得率とは
有給休暇取得率は、従業員が付与された有給休暇をどの程度取得しているかを表す指標です。取得率を把握することで、企業は労働環境の改善や職場での休暇取得を促進し、従業員の健康やモチベーション向上につなげることができます。取得率の計算は、個人と企業全体で異なる方法を用いますが、双方ともに職場環境改善の指標として利用できます。
●個人の有給休暇取得率の計算方法
個人の有給休暇取得率は、各従業員が自身に付与された有給休暇をどれだけ消化したかを表します。
<計算式>
取得率 = ( 取得した有給休暇日数 ÷ 付与された有給休暇日数 ) × 100
例)
ある従業員に1年間で16日間の有給休暇が付与され、そのうち10日間を取得した場合の計算は次の通りです。
取得率 = ( 10 ÷ 16 ) × 100 = 62.5 %
この計算により、従業員ごとの取得率を確認しやすくなり、休暇取得状況を個別に把握できます。
●企業全体の有給休暇取得率の計算方法
企業全体の有給休暇取得率は、職場全体で有給休暇の取得がどれだけ進んでいるかを示す指標です。全従業員の取得日数と付与日数の合計から計算します。
<計算式>
取得率 = ( 全従業員の取得日数の合計 ÷ 全従業員に付与された日数の合計 ) × 100
例)
企業に10人の従業員が在籍し、それぞれ16日間の有給休暇が付与されていた場合、企業全体で付与された日数は160日となります。その中で、全従業員の取得日数が120日だった場合の計算は以下の通りです。
取得率 = ( 120 ÷ 160 ) × 100 = 75 %
この指標は、企業全体での休暇取得状況を測定し、休暇制度の利用促進の参考にされます。
●取得率の計算における「繰越日数」の取り扱い
多くの企業では、前年から繰り越された有給休暇を「繰越日数」として管理しています。この繰越日数の取り扱いは、企業や調査目的によって異なりますが、一般的には次のような対応方法が考えられます。
繰越日数を含めない
一般的に、当年度の付与日数のみを取得率の計算に用いる方針が多く見られます。これにより、その年度の有給休暇の消化状況を正確に把握することが可能です。
繰越日数を含める
繰越日数を取得率の計算に含める場合、取得率が低くなる傾向があります。これは、計算上の付与日数が増えるためです。
繰越日数を含めるかどうかはケースバイケースなところがありますが、基本的には当年度の付与日数のみを用いることが分かりやすいと言えます。
●有給休暇取得率が100%を超えるケースとは?
通常、有給休暇取得率が100%を超えることはありませんが、特定の状況下で100%を超える場合があります。以下がその例です。
(1) 繰越日数の取得があった場合
前年からの繰越日数があり、その日数を含めて多くの有給休暇を取得した場合には、付与日数以上に有給休暇を消化するため取得率が100%を超えるケースがあります。
例)
前年からの繰越日数が5日ある従業員に、新たに16日間の有給休暇が付与され、そのうち20日間を取得した場合の計算は次の通りです↓
取得率 = ( 20 ÷ 16 ) × 100 = 125 %
(2) システムや計算上の処理の影響
給与計算システムや休暇管理システムの設定によっては、100%以上の取得率が表示される場合があります。これが生じた場合には、システムの設定や計算方法を確認する必要があります。
●有給休暇取得率を高めるための施策
有給休暇取得率を向上させ、従業員の健康を保ちつつ職場の活力を高めるためには、以下のような施策が効果的です。
有給休暇の取得推奨キャンペーン
毎年の計画的な休暇取得を推奨し、繁忙期と閑散期に合わせて休暇を設定できるようにする。
計画年休制度の導入
全従業員に一定の休暇を取得させるため、計画的に日程を組む「計画年休制度」を導入することで、取得率向上を目指します。
管理職による取得推奨
管理職が有給休暇の取得を推奨し、従業員が休暇を取得しやすい雰囲気を作ることで、取得率を向上させます。
時間単位有給制度の導入
半日単位や時間単位で有給を取得できる制度を導入することで、柔軟に取得できる環境を整えます。
有給休暇取得率は、個人や企業全体の休暇取得状況を把握し、働きやすい職場環境を作るためのひとつの指標です。適切な計算方法と運用を通じて、従業員の健康と企業の成長につなげましょう。取得率が100%を超える場合には、システム設定や計算の仕方を確認し、適切な数値が反映されているか確認することも大切です。
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