作成日:2026/09/07
注意しただけなのに「パワハラ」と言われた。指導とどう違う?
「遅刻を注意しただけなのに、
『それってパワハラですよね』
と言われてしまった」
「間違いを指摘したら、
部下が黙り込んでしまった。
言い方がまずかったのだろうか」
経営者や管理職の方から、
こうした戸惑いの声をよく聞きます。
近年は「パワハラ」という言葉が
広く知られるようになった分、
注意や指導そのものをためらってしまう、
という方が増えました。
でも、ここで指導をやめてしまうと、
別の問題が起きます。
直すべきことが直らないまま放置され、
そのしわ寄せが真面目な従業員に
回っていく。
注意しないことが、結果的に
職場を傷めてしまうのです。
大切なのは、
「注意しない」ことではなく、
「パワハラにならない注意の仕方」を
知ることです。
順番に整理していきましょう。
そもそも、指導とパワハラは別のもの
まず押さえておきたいのは、
必要な指導はパワハラではない
ということです。
厚生労働省の定義でも、
ーーー
業務上必要かつ相当な範囲で行われる
適正な業務指示や指導は、
パワハラに該当しない
ーーー
とはっきり示されています。
つまり、部下のミスを指摘したり、
遅刻を注意したりすること自体は、
まったく問題ありません。
にもかかわらず、
「注意=パワハラかもしれない」と
身構えてしまうと、必要な指導まで
萎縮してやめてしまう。
これはお互いにとって不幸です。
まずは、
「指導は必要なことなのだ」という土台を、
安心して持っておいてください。
では、どこからがパワハラなのか
とはいえ、
「じゃあ何を言ってもいいのか」というと、
そうではありません。
同じ「注意」でも、やり方によっては
パワハラに当たることがあります。
厚生労働省は、パワハラを
ーーー
1.優越的な関係を背景とした言動で
2.業務上必要かつ相当な範囲を超え
3.その従業員の就業環境が害されるもの
ーーー
と定義しています。
少し硬いので、現場で使いやすいよう、
境目のポイントを3つに絞って
整理してみます。
ひとつめは、
「業務に必要な範囲」を超えていないか。
遅刻やミスそのものを注意するのは、
業務に必要なことです。
でも、
そこから離れて過去を蒸し返したり、
必要以上に長時間問い詰めたりすると、
「必要な範囲」を超えてきます。
注意の中身が、
目の前の業務の改善につながっているか。
ここが一つの目安です。
ふたつめは、
「人格」ではなく「行動」を指しているか。
「この資料、締め切りに間に合っていないよ」
は行動への指摘です。
一方、
「だからお前はダメなんだ」「やる気がないんだろう」
は人格への攻撃です。
同じ場面でも、
直すべき行動を指すのか、
人そのものを否定するのかで、
まったく意味が変わります。
みっつめは、
「繰り返し」や「見せしめ」になっていないか。
一度伝えれば済むことを何度も蒸し返す、
あるいはみんなの前で大声で叱る。
こうした「必要以上のやり方」は、
たとえ内容が正しくても、相手を
追い詰める形になりやすいものです。
この3つは、
「何を言ったか」だけでなく
「どう言ったか」で分かれる、
という点が共通しています。
注意するとき、
こう持っていくと伝わりやすい
では、パワハラにならず、
かつ相手にちゃんと伝わる注意とは、
どんなものでしょうか。
現場ですぐ使えるコツを、
いくつかお渡しします。
ひとつは、
事実ベースで伝えること。
「今週、3回遅刻しているね」
と事実を置くほうが、
「たるんでるんじゃないか」
と決めつけるより、
相手も受け止めやすくなります。
ひとつは、
人格ではなく行動に絞ること。
直してほしいのは
「その人」ではなく「その行動」です。
ここを分けるだけで、
言葉の刺さり方がずいぶん変わります。
そしてもうひとつ、意外と大事なのが、
感情的になった瞬間に一拍おくことです。
カッとなったまま口を開くと、
必要な範囲を超えやすくなります。
「今は少し落ち着いてから話そう」と
一度引くことも、立派な対応です。
もし「パワハラだ」と言われてしまったら
気をつけていても、
「それはパワハラです」と
言われてしまうことはあります。
そのとき、つい
「そんなつもりはない」と
全否定したくなりますが、
まずは一度受け止めることが大切です。
頭ごなしに否定すると、
相手はさらに身構えてしまいます。
「どのあたりがつらかったのか、
聞かせてもらえる?」
と、事実と相手の受け止めを
整理するところから始める。
そのうえで、行き違いなのか、
こちらに改めるべき点があったのかを、
落ち着いて見ていきます。
ここは自己判断で進めると、
かえってこじれることもあります。
判断に迷う場面では、
第三者に間に入ってもらうことも
選択肢です。
最初の一歩は、
「行動に絞って、事実で伝える」こと
注意すること自体は、
悪いことではありません。
むしろ、
必要な注意ができる職場は、
健全な職場です。
こわいのは、「言い方」で
相手を追い詰めてしまうこと。
だからこそ、
まずは人格ではなく行動に絞り、
事実ベースで伝える。
この一つを意識するだけでも、
注意はぐっと伝わりやすく、そして
パワハラから遠いものになります。
指導とパワハラの線引きは、
ルールの問題だけでなく、
言葉の選び方や、
その職場に流れている空気とも
深くつながっています。
「注意したいけれど、パワハラが怖くて言えない」
「部下との伝え方を、一度整理したい」
「『パワハラだ』と言われて、対応に迷っている」
そうしたテーマを、制度面と
現場の空気の両方から整理したい方は、
人事労務の無料相談をご利用ください。
現在の状況を
確認するところからご一緒します。
人事労務の無料相談はこちら















令和8年対応!









