職場環境づくりのヒント
職場環境づくりのヒント
作成日:2026/07/13
何度言っても変わらない従業員。辞めさせる前に確認したいこと



「何度注意しても、同じことを繰り返す」

「こちらの指示が、どうも届いていない」

中小企業の経営者や管理職の方から、
こうした相談をいただくことがあります。

最初は根気よく伝えていたけれど、
それが何度も続くうちに、

「この人は、もう変わらないのかもしれない」
という気持ちになってくる。

そして、ふと
「辞めてもらうしかないのだろうか」
という考えがよぎる。

ここまで来ているとしたら、
それは経営者や上司の側にも、
かなりの我慢と労力が積み重なった
結果だと思います。

ですので、まずお伝えしたいのは、
その疲れは自然なものだ、ということです。

そのうえで、
一度だけ立ち止まって
確認しておきたいことがあります。



「言うことを聞かない」の中身は、
実は一つではない

ひとくちに
「言うことを聞かない」といっても、
その中身はいくつかに分かれます。

ここを分けずに
「あの人は言うことを聞かない」と
ひとまとめにしてしまうと、
対応を間違えやすくなります。

(1)伝わっていないだけのケース
本人は反抗しているつもりはなく、
そもそも指示の意図を理解できていない。

「言ったはず」と 「伝わっていた」は、
実はけっこう違います。

(2)納得していないケース
やり方は分かっているが、
「なぜそうするのか」に納得できていないため、
動かない。

これは反抗というより、
説明不足への静かな抵抗です。

(3)できない事情があるケース
やる気はあるが、
スキル・経験・体調・家庭の事情などで、
物理的にできていないこともあります。

(4)本当に非協力的なケース
意図的に指示に従わない、
組織の方針に反発している。

この4つは、見た目は同じ
「言うことを聞かない」でも、
必要な対応がまったく違います。

そして経営者が
「辞めてもらうしかない」と感じるとき、

実際には(4)だと思っていたものが、
(1)〜(3)だった、というケースが
少なくありません。



なぜ「同じことの繰り返し」に見えるのか

多くの場合、
本人だけの問題ではありません。

たとえば、
こんな連鎖が起きていることがあります。

現場が忙しく、上司にも余裕がない。

だから注意する際も
「ちゃんと考えて」「前も言ったよね」
といった、短い言葉になる。

言われた本人は、
何をどう直せばいいのか
具体的に分からないまま、
「また怒られた」だけが残る。

結果、行動は変わらず、
上司から見ると
「何度言っても直らない」に見える。

これは誰かが悪いという話ではなく、
双方の余裕が失われた中で、
かみ合わなくなっている状態です。

悪者を探すより、
どこで歯車がずれたのかを見るほうが、
解決には近づきます。



辞めさせる前に、確認しておきたいこと

「辞めてもらう」という判断は、
いつでもできます。

だからこそ、その前に
確認しておきたいことがあります。

これは本人のためというより、
組織を守るためでもあります。

1.指示は、具体的だったか
「ちゃんとやって」ではなく、
「いつまでに、何を、どの状態にするか」が
明確に伝わっていたか。

たとえば、こんな違いです。

惜しい例:
 「あの件、ちゃんとやっておいて」

良い例:
 「金曜の午前までに、この書式で、
  A社の請求書を作って、私に一度見せて」

同じ「やっておいて」でも、
後者なら、できたかできないかが
本人にも上司にもはっきり分かります。

「何度言っても」の"言った"が、
実は前者のような曖昧な指示だった、
というのは、意外とよくあることです。

2.改善の機会を、記録とともに渡したか
口頭で注意しただけか、それとも
「どう直してほしいか」を具体的に伝え、
改善のための時間を与えたか。

これは、後々
「指導せずに辞めさせた」と
言われないための備えにもなります。

3.理由を、本人に聞いたか
「なぜできないのか」を、
責める口調ではなく確認する口調で
聞いたことがあるか。

ここも、聞き方ひとつで
返ってくる答えが変わります。

「なんでできないの?」と聞くと、
本人は責められたと感じ、
「すみません」で会話が終わってしまう。

そうではなく、
「何か引っかかっていること、ある?」
「やりにくいところがあれば教えて」
と聞くと、(1)〜(3)のどれなのかが、
初めて見えてくることがあります。

本人にしか分からない事情は、
たいてい、聞かないと出てきません。



それでも変わらないとき

ここまで確認したうえで、
それでも改善が見られない場合は、
(4)の可能性が高くなります。

その場合でも、
いきなり退職の話に進むのではなく、
手順を踏むことが結果的に組織を守ります。

・指導の記録を残す。
・改善を求める内容を明確にする。
・段階を踏んで対応する。

このあたりは、感情的に進めると
後でトラブルになりやすい領域です。

「もう限界だ」という気持ちのときこそ、
一度、第三者に整理を
手伝ってもらうことをおすすめします。



辞めさせる前にできること

何度言っても変わらない従業員への対応は、
「辞めさせるか、我慢するか」の
二択に見えがちです。

でも実際には、その手前に
できることがいくつもあります。

まずは、
「あの人は言うことを聞かない」を、
(1)〜(4)のどれに該当するのか、
一度分けて考えてみるところから。

それだけでも、次に何をすればいいかが、
少し見えてくるはずです。



「言うことを聞かない従業員」への対応は、
本人の問題だけでなく、指示の伝わり方や、
職場の中にある余裕のなさから
生まれていることがあります。

「辞めさせるべきか、
 指導を続けるべきか迷っている」
「対応の手順を、
 後々もめない形で整えたい」
「感情的になる前に状況を一度整理したい」

そうしたテーマを、制度面と
現場の空気の両方から整理したい方は、
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