実践ノウハウ
実践ノウハウ
作成日:2026/08/23
新しい取り組みが続かないとき、目標を下げる前に決めたいこと



職場の話ですが、
まず個人的な失敗談から
お付き合いください。

この夏季休暇中、久しぶりに
サッカーゲームをやってみたのです。

リラックスして、
のんびり楽しもうと思って
起動しました。

結果…イライラしました

普段やっていないので、
思ったところにパスが出ない。
気づけば失点している。

そのたびに、心の中で
『なんでだ』とつぶやいている

誰にも迷惑をかけていない、
完全に自由な時間です。

それなのに、
なぜ機嫌が悪くなっているのか。



動いていたのは、二つの願望

考えてみて、
思い当たったことがあります。

始めたときの願望は
ゲームを「楽しむ」でした。

ところが、
試合が始まると、
別の物差しが勝手に立ち上がる

「勝ち負け」です。

学生時代にスポーツを
やっていたことも
関係しているかもしれません。

試合というものは
勝ち負けで見るものだ、
という前提が、
自分の中に残っている。

そして、その物差しから
「勝ちたい」という願望が
自然に生まれてきます。

つまり、
「楽しむ」という願望と、

物差しから発生した
「勝ちたい」という願望が、

同時に動いていた。

この二つは、
最初はなかなか両立しません。

イライラの正体は、
下手だったことではなく、
このねじれのほうでした。



「負けてもいい」では、
たぶん続かない

すぐ思いつく対策は二つあります。

「最初から負けてもいい」と
思っておくこと。

あるいは、
試合そのものをやめること。

どちらも、
イライラはしなくなります。

ただ、しっくりきませんでした。

どちらも
「勝ちたい」という願望を
無理やり削っているからです。

しかも、
削ってもすぐ戻ってきます。

「勝ち負け」で見るという
物差しを持ったままなら、
「勝ちたい」は何度でも
自然発生するからです。

意志で押さえ込む話ではない、
ということです。



職場でも、同じことが起きる

前置きが長くなりましたが、
ここからが本題です。

新しい取り組みを始めたのに、
どうも続かない。

1on1を導入したものの、
話が続かず気まずい時間になる。

新しい制度を入れたが、
初回から運用がぐらつく。

このとき、
最初に検討されるのは
たいてい「目標を下げる」ことです。

回数を減らす。
対象を絞る。
いったん様子を見る。

もちろん、
それが適切な場面もあります。

ただ、その前に
確かめておきたいことがあります。

始めた側は、
「まずはやってみよう」
くらいの気持ちでいます。

ところが受け手は、
新しく始まったものに
「評価される場だ」という
物差しを当てがちです。

すると、そこから
「失敗したくない」という願望が
勝手に立ち上がる。

うまく話せなかった1on1は、
自分の力不足に見える。

ぎこちない初回の運用は、
制度そのものの失敗に見える。

始めた側は練習のつもりでも、
受け手は本番の物差しを
当てている状態です。

うまくいっていないのではなく、
評価する物差しを一方だけが
早く当てすぎている。

つまり、
物差しがズレている

そういうことが案外あります。



最初のひと言で、
物差しをそろえる

対策は、
大がかりなものではありません。

始めるときに、一度だけ言っておく。

「これは試運転です。しばらくは、
 うまくいかない前提で進めます」

「10月末までは、やってみて
 気づいたことを集める期間にします」

たったこれだけで、
受け手が当てる物差しが変わります。

物差しが変われば、
そこから生まれる願望も変わる。

「失敗したくない」ではなく、
「気づいたことを出しておこう」
になります。

うまくいかなかったことが、
失敗ではなく集めるべき材料になるので、
「やりにくかった」という声も出てきやすくなります。

期待値を下げているのではありません。

いつ、何で評価するのかを、
先に共有しているだけです。



練習を終える日も、決めておく

ひとつだけ注意点があります。

「練習期間です」と言ったまま、
その状態を放置しないことです。

ずっと練習のままだと、今度は
誰も
本気で取り組まなくなります

ですので、始めるときに
終わりも一緒に決めておく。

「11月からは、
 通常運用に切り替えます」

「そのときに、
 続けるかどうかも含めてもう一度話します」

いつまで様子を見ればいいのかが
わからない状態は、それ自体が、
じわじわと現場の余裕を削っていきます。



目標を下げる前に

新しい取り組みが続かないとき、
まず疑いたくなるのは
中身や意欲のほうです。

けれど案外そこではなく、
評価するタイミングや基準など、
物差しがズレているだけ、
ということがあります。

願望は、無理に削らなくていい。

良い職場にしたい。
対話のある組織にしたい。

その願望はそのままに、
「いま、何で見るか」だけを
先に決めておく

小さな一言ですが、
これがあるかないかで、
半年後に残っているものは
だいぶ変わってきます。

ちなみに、
私のサッカーゲームのほうは、

「最初の10試合は練習して、
 11試合目に集大成を見せる」

と決め直したところ、だいぶ穏やかに
プレーできるようになりました。

腕前のほうは…
勝ち続けるにはまだ
練習期間が必要なようです。

 

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