人事労務ニュース
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文書作成日:2023/02/07

人材開発支援助成金に創設された「事業展開等リスキリング支援コース」

 2022年10月に首相の所信表明演説において、「人への投資策を5年間で1兆円のパッケージに拡充する」という方針が示されました。事業環境が大きく変化する中、今後、リスキリングが大きなテーマとなってきますが、これを後押しするものとして、2022年12月2日より、人材開発支援助成金に「事業展開等リスキリング支援コース」が創設されています。以下ではこの内容についてとり上げます。

[1]「事業展開等リスキリング支援コース」とは
 この「事業展開等リスキリング支援コース」は、新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識および技能を習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成するものです。
 助成対象は以下に該当する事業主です。

  1. 既存事業にとらわれず、新規事業の立ち上げ等の事業展開に伴う人材育成に取り組む事業主
  2. 業務の効率化や脱炭素化などに取り組むため、デジタル・DX化やグリーン・カーボンニュートラル化に対応した人材の育成に取り組む事業主
 このうち、1の事業展開とは、例えば以下のようなものが該当します。
  • 新商品や新サービスの開発、製造、提供又は販売を開始する
  • 日本料理店が、フランス料理店を新たに開業する
  • 繊維業を営む事業主が、医療機器の製造等、医療分野の事業を新たに開始する
  • 料理教室を経営していたが、オンラインサービスを新たに開始する
 2のデジタル・DX化については、例えば以下のようなものが該当します。
  • ITツールの活用や電子契約システムを導入し、社内のペーパーレス化を進めた
  • アプリを開発し、顧客が待ち時間を見えるようにした
  • 顔認証やQRコード等によるチェックインサービスを導入し手続きを簡略化した
 さらに、2のグリーン・カーボンニュートラル化については、例えば以下のようなものが該当します。
  • 農薬の散布にトラクターを使用していたが、ドローンを導入した
  • 風力発電機や太陽光パネルを導入した

[2]支給対象となる訓練
 助成金の支給対象となる研修は、以下の要件を満たす必要があります。

  • OFF-JTにより実施される訓練であること
  • 実訓練時間数が10時間以上であること
  • 次の1または2のいずれかに該当する訓練であること。1の事業展開については訓練開始日(定額制サービスによる訓練の場合は契約期間の初日)から起算して、3年以内に実施される予定のもの、または6ヶ月以内に実施したものであるものに限る。
    1. 事業展開を行うにあたり、新たな分野で必要となる専門的な知識および技能の習得をさせるための訓練
    2. 事業展開は行わないが、事業主において企業内のデジタル・DX化やグリーン・カーボンニュートラル化を進めるにあたり、これに関連する業務に従事させるうえで必要となる専門的な知識および技能の習得をさせるための訓練

[3]助成額・助成率
 支給対象となる訓練を実施した場合、以下の助成が行われます。
 経費助成率 中小企業の場合:75% 大企業の場合:60%
 賃金助成額 1人1時間あたり 中小企業の場合:960円 大企業の場合480円
 ※経費助成限度額、賃金助成限度額あり。1事業所が1年度に受給できる助成額は1億円。

 申請の前提として、まず職業能力開発推進者を選任し、職業訓練の計画を策定する必要があります。その上で、訓練開始日から起算して1ヶ月前までに、「訓練実施計画届・年間職業能力開発計画」を各都道府県労働局へ提出します。上記でとり上げた内容以外にも、様々な要件が設けられています。活用を検討される場合は、事前にリーフレットの確認や、労働局への問い合わせなどを行うとよいでしょう。

■参考リンク
厚生労働省「人材開発支援助成金(特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇等付与コース、特別育成訓練コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。













 
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